中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)― 「参加しないと損する!」という論調が多く見受けられますが、本当にそうでしょうか? 独立総合研究所の青山繁晴さんがAIIBの裏側を暴露しています。
櫻井:アジアインフラ投資均衡銀行― 中国が主導して設立する国際金融機関ですが、この創設メンバーに日本は参加表明していないんですね。

青山:参加しないですね、少なくとも当面は。アメリカがこの銀行に反対しているのに、世界の主要国が雪崩を打ってこれに参加する状況にはなっているんですね。日本のメディア、新聞もテレビも「なぜ日本は参加しないんだ、このまま行ったら日本は損する」「アジアで鉄道を作ったり、病院作ったり、学校作ったりする時に、日本が不利になるんじゃないか」という報道が溢れているんですよね。これはメディアのミスリードの典型だと思いますね。

櫻井:そうですか。

青山:はい。「日本が中に入って意見を言うべきだ」と社説なんかにも、特に新聞はそう書いてあるんですけど― 意見言えると思いますか? アジアインフラ投資銀行は本部が北京にあって、総裁は実質共産党が指名して― 参加国には何の発言権もありません。総裁が中国共産党から送り出されるから、最終決定権者は習近平国家主席なんです。理事会が一応作られますが、開催自体が不定期で― 総裁の権限がもの凄く強いわけです。そこに日本が入っていって発言できると思うこと自体が― まるで中国の宣伝に乗っかっているかのような、日本のメディアの実態だと考えるんです。

アジアインフラ投資銀行― 本当に融資できるんでしょうか? 新聞には「中国は外貨準備高がもの凄く多いので、それを活かしてどんどんアジアに投資していくんだ。だから各国が乗っかっているんだ」と書いてあるんです。去年(2014年)の年末の統計ですと、中国の外貨準備は、3兆8千億ドルを超えているんです。もの凄いお金ですよね。しかし、去年(2014円)の6月と比べると1500億ドルも減っているんですよ。どんどん減っているわけです。経済が行き詰っているんで、外資がどんどん逃げているんですね。外資が逃げているから、海外の銀行から借りているんですよ。その借り入れが去年(2014年)の9月末で、1兆700億ドルもあって、2013年と比べると2800億ドルも増えているんですね。外貨準備がどんどん減るのを、外国の銀行から借りて補っているわけです。それを考えずに「中国にはお金があるから乗っかれ」というのはむちゃくちゃな話しで― 

なぜ中国がこの銀行を作るかというと、国内景気が駄目で― 国内景気を支えているのは中国の国有企業で共産党と人民解放軍と繋がっているわけですね。国内で国有企業が仕事できないので、「じゃーアジアに出て行って、外国で仕事をさせてくれ」という話しなんですね。インフラ投資と言っていますけど、新幹線と原発を売りたいんですよ。中国の新幹線と原発の信頼性の低さは世界が懸念するところです。それに日本が手を貸してどうするんですか? メディアの報道が正しいかに見えますが、これはミスリードの典型で― 知らせるべき情報を知らせないで、飾り立てて思い込みで報道してるんですね。

櫻井:
日本政府はある程度その辺を見極めているんですね?

青山:日本政府が慎重姿勢でいるのはあくまで「アメリカが反対だから」ということですよね。イギリスが入ったのは、肝心のアメリカがフラフラしていて態度がはっきりしない。イザとなったらアメリカが裏切ってここに乗っかるんじゃないかと考えているから。

第二次世界大戦が終わってから、アメリカが国際金融をずっと握ってきたんですよね。それがIMF― 国際通貨基金とか世界銀行ですよね。国際金融基金とか世界銀行と言っているけど、ほんとうはアメリカ通貨基金、アメリカ銀行なわけです。ドルが世界を支配してきた現状がありますよね。それが闘わざるアメリカになって、自称イスラム国程度の、1万数千人しかいないような人達が残虐なことを平気で出来るようになってしまった。それが経済、金融の世界に影響して、IMFとか世界銀行の支配が続けられなくなっているんです。これをお聞きになってどうですか? 日本が本当に困る話ですか? 日本はアメリカが作ったADB、アジア開発銀行というものをずっと支えてきて、総裁は歴代全部日本人ですね。今も日本人です。中国はなれないから新しい投資銀行を作るわけですね。

引用:ニュース新発見 インサイト【2015/4/1】
「メディアが言っていることと反対の事をしていれば間違いない!」とはよく言われますが、本当にそうだと思います。AIIBには参加しない方が良いと思います。